電車館/民鉄

三岐鉄道 近畿日本鉄道 四日市あすなろう鉄道
電気機関車 三岐線 電車 北勢線 特急車 一般車 内部線 八王子線
 北勢線,内部線,八王子線はいずれも軌間762mmのナローゲージの鉄道路線です。このうち北勢線は1914年4月5日に北勢鉄道により大山田(現 西桑名)‐楚原間14.5kmの軽便鉄道として開業,1931年7月8日には阿下喜まで延伸・電化されています。1934年には北勢電気鉄道に改称,1944年2月11日には三重交通に統合されました。1964年2月1日には三重電気鉄道となり翌1965年4月1日からは近畿日本鉄道に合併されました。2003年4月1日に近鉄から三岐鉄道に北勢線の鉄道事業が譲渡されました。
 一方,内部線は1912年に三重軌道が軌道条例により南浜田‐日永間で開業,1915年に四日市市まで延伸,1916年には新たに三重鉄道が軽便鉄道として開業しました。その後,1922年1月10日には日永‐小古曽間,同年6月21日には内部まで延伸されました。1944年2月11日には北勢線と同じく三重交通に統合,1964年2月1日に三重電気鉄道となり翌1965年4月1日からは近畿日本鉄道に合併されました。
 八王子線は1912年8月14日に三重軌道が軌道条例により日永‐八王子村(後に伊勢八王子に改称)間を開業,1916年12月1日に三重鉄道が改めて軽便鉄道として開業しました。1944年2月11日には他の路線とともに三重交通に統合されました。1948年9月10日には日永‐伊勢八王子間が電化しました。1964年2月1日には三重電気鉄道となり,翌1965年4月1日からは近畿日本鉄道に合併されました。1974年7月25日の豪雨災害を受け日永‐伊勢八王子間が不通となり,1976年4月1日までに日永‐西日野まで復旧しましたが西日野‐伊勢八王子間は廃止となりました。
 内部線と八王子線は,それまで保有・運営していた近畿日本鉄道に代わり2015年4月1日から四日市市が第三種鉄道事業者として保有し,四日市あすなろう鉄道が第二種鉄道事業者として運行しています。いずれも軌間762mm,直流750V架空電車線方式で電化されています。
■ 路線
現運営 路線名 区間 営業キロ 駅数 開業年月日 備考
三岐鉄道 北勢線 西桑名‐阿下喜 20.4 km 13 1914年4月5日
四日市あす
なろう鉄道
内部線 あすなろう四日市‐内部 5.7 km 8 1912年10月6日
八王子線 日永‐西日野 1.3 km 2 1912年8月14日 1976年4月1日 西日野‐伊勢八王子間廃止
■車両 (撮影済系列のみ)
系列 車両形式 番号 車両数 入線時期 編成・主な特徴
220形 モハニ50形→モニ221形
 50‐55 → 221‐226
 227‐229
→ク220形 221 223
→モ220形 222 224
→サ120形
 227‐229→121‐123
1931

1949
北勢線全線電化開業に合わせ日本車輌製造本店で製造されたモハニ50形モハニ50‐55,全長11,460mm,主電動機25kWx4基,吊り掛け式,直接制御,1944年三重交通編入時にモニ221形モニ221‐226に改番,1949年モニ227‐229増備,1977年以降モニ221, 223の電装解除しク221, ク223に改造,モニ222, 224は荷物室廃止,方向転換し阿下喜方に貫通路設置,片運転台に改造しク221‐モ222, ク223‐モ224 に2固定編成化,1982年モニ227‐229をサ120形サ121123に改造し260系の付随車として利用
130形 サ360形→サ130形
361‐368→131‐138
→ク110形
 131 133 → 114 115
→サ120形
 132 → 124
→ク130形→クハ130形 134
→ク130形→サ130形→
 サハ130形 136
→サハ130形 135 137
→サハ138形 138
8 1954 三重交通が製造した半鋼製付随客車サ360形サ361‐サ368,1965年にサ130形サ131‐138に改番,1982年に内部・八王子線の近代化のため260系を新造した際,131, 133を制御車ク110形114, 115, 132をサ120形124に改造し組込み
200系 4401(M‐1)→モ201→サ201→
 サハ201
4401(T‐1)→サ101→サハ101
4401(M‐2)→モ202→サ202→
 ク202→クハ202
3 1959 三重交通が湯の山線用に日本車輌製造本店で製造した3車体4台車連接車,4401(M‐1)=4401(T‐1)=4401(M‐2) 近鉄合併時にモ201=サ101=モ202に改番,1971年電装解除,サ201=サ101=サ202に改番,モニ220形牽引で運用,1977年モ270形と総括制御固定編成化,サ202に運転台復活しク202に改番,サ201=サ101=ク202 三岐鉄道移管後2008年の高速化改造で形式変更,クモハ277サハ201=サハ101=クハ202 の編成で運用
140形 サ2000形 2001‐2007
→サ140形 141‐147
 →ク140形→クハ140形
  141 143 145
 →サ140‐1形→サハ140‐1形
  142 144
 →サハ140形
  146 147
7 1960
|
1962
三重交通が湯の山温泉観光向けにサ2000形2001‐2007として日本車輌製造本店で製造,アルミサッシを備える近代的な全金属車体,全長11,380mm,NT‐7台車を装備,1964年湯の山線改軌に伴い北勢線に転属,近鉄合併後サ140形サ141‐147に改番,1977年以降総括制御運転に伴いサ141‐145は運転台新設(奇数は西桑名側,偶数は阿下喜側)しク141‐145に改造,2003年の三岐鉄道移管に伴いク142, 144はサ140‐1形サ142, サ144に改造,三岐鉄道移管後,2005〜2007年に高速化改造されクハ140形,サハ140‐1形,サハ140形にそれぞれ形式変更
270系 モ270形→クモハ270形
 271 272
モ270形→クモハ273形
 273‐276
モ277形→クモハ277形
 277
ク170形→クモハ170形
 171 172
9 1977

1990
近鉄が北勢線向けに導入,間接式制御器を搭載し総括運転を可能とし両端駅での機回しを不要とした,15m級非貫通形両開き2扉全金属車体,ロングシート,1990年に1人掛けクロスシートのモ277形モ277を増備,2005年に70km/hの高速運転対応化でク170形と台車交換で主電動機分散配置を実施,モ270形→クモハ270形,ク170形→クモハ170形に変更,一方,130形,140形と編成を組むモ270形は冷房化不可で形式をクモハ273形に変更
260系 モ260形 261‐265
ク160形 161‐163
8 1982
1983
内部・八王子線用,四日市向きモ260形,内部向きク160の8両新製,車体長15600mm,主電動機38kW,吊り掛け式,1方向固定1列クロスシート,これに加えモニ220形を電装解除したサ120形3両, サ130形にク160形と同一設計の運転台ブロックを付けたク110形2両,更新したサ120形1両で3両編成4本と2両編成1本を組む
連接部を=で表記 ← 内部・阿下喜          四日市・西桑名 →
220形
No.103‐11
1985年7月15日
モ220形 モ222他 2両
回送
近鉄北勢線 北大社
北大社 ク221‐モ222 西桑名

北大社駅で車庫に回送されるモ222とク221の2両編成。モ222,ク221は元北勢鉄道モハニ50形モハニ51,モハニ50で,旅客・荷物合造車として誕生,三重交通統合後モニ222,221に改番された後も単行で運転されていましたが,1977年の270系投入により電動車が余剰となったためモニ222を方転の上,荷物室を廃止して阿下喜方に貫通路を設け,モニ221を電装解除したク221と2両固定編成化されました。写真撮影時の北大社(きたおおやしろ)は運転指令所や車両区を持つ大きな駅でしたが2005年に指令所が東員に移設し北大社駅は廃止され信号場になっています。
130形
No.103‐07
1985年7月15日
ク110形 ク114他 3両
四日市行
近鉄内部線 小古曽←内部
四日市 モ264‐サ124‐ク114 内部

内部を発車し四日市に向かうモ264編成。1982年から新製された260系はモ260形5両に対しク160形は3両に留まり,不足するTc車をサ130形からの更新改造で補いました。これがク110形でク114とク115が誕生しています。外見は新車と変わりません。中間の付随車もサ130形サ132から改造されたサ124を使っています。
No.103‐05
1985年7月15日
サ120形 サ124他 3両
内部行
近鉄内部線内


四日市 モ264‐サ124‐ク114 内部


260系組み込みのためサ130形から更新改造されサ120形サ124に改番された中間車に乗車し,車内から四日市方のモ264を眺めたところです。車両の幅がかなり狭く妻部の窓は縦長形状になっています。貫通路の幅は比較的広くなっています。祝日に国旗を掲揚していましたが,貫通路の上は広告に被るためか左側の窓上に金具が設けてあります。
200系
No.103‐13
1985年7月15日
275F
ク200形 202他 4両
西桑名行
近鉄北勢線 楚原
楚原 モ275‐サ201=サ101=ク202 西桑名

楚原折り返し,西桑名行きとなる275F。このク202,サ101,サ201の3両は1959年に三重交通が湯の山温泉観光用として製造した3車体4台車連接車で,正面は非貫通の湘南形となっています。製造当初は201と202はM車でしたが1971年に電装解除され全車付随車となってモニ220形が牽引する形で運用されていました。1977年にモ270形と総括制御できるように制御車に再改造されク202となりました。

No.D200_090830‐102
2009年8月30日
K77編成
クハ200形 202他 4両
阿下喜行
三岐鉄道北勢線 麻生田←楚原
阿下喜 クモハ277‐サハ201=サハ101=クハ202 西桑名

三岐鉄道に移管後,この200系連接車編成3両はクモハ277と固定編成化され三岐鉄道色をまとって活躍しました。2013年10月29日からは三重交通塗装となっています。
140形
No.103‐14
1985年7月15日
273F
ク140形 141他 2両
西桑名行
近鉄北勢線 楚原
阿下喜 モ273‐ク141 西桑名

楚原に到着する阿下喜発西桑名行きの2両編成。ク141は1960年に三重交通が湯の山線用に製造したサ2001で,1964年に湯の山線が標準軌に改軌されたため北勢線に転じ,近鉄合併後サ141に改番,1977年に西桑名方に運転台を設置してク141となりました。モ270形とペアを組み活躍。
No.D200_090830‐100
2009年8月30日
K73編成
クハ140形141他 4両
西桑名行
三岐鉄道北勢線 麻生田→楚原
阿下喜 クモハ273‐サハ142‐サハ136‐クハ141 西桑名

三岐鉄道色に塗り替えられ,クモハ273との間にサハ142,サハ136の2両を挟んだ4両編成となり西桑名に向かうク141。この編成の前(写真右側)3両は各車室内に冷房装置を搭載して冷房化しておりルーバーが見えます。一方,左側のクモハ273は搭載余地がなく非冷房のままとなっており,撮影した8月でも窓が開いていました。
270系
No.103‐12
1985年7月15日
275F
モ270形 275他 4両
楚原行
近鉄北勢線 北大社
楚原 モ275‐サ201=サ101=ク202 西桑名

近鉄時代の1977年に登場したモ270形275を先頭にした4両編成が北大社に到着。後ろ3両は200系連接車で付随車化されており,西桑名に向かう際はこのモ275を先頭のク202から間接制御する形で運転されます。モ270形登場以前は終端駅でモニ220形を機関車の如く先頭に回して牽引していました。
No.103‐16
1985年7月15日
276F
モ270形 276他
阿下喜行
近鉄北勢線 阿下喜



阿下喜 モ276‐サ135‐ク134 西桑名


終点の阿下喜に到着するモ276先頭の3両編成。撮影当時は木製の架線柱がまだ多く残っていました。
No.D200_090830‐97
2009年8月30日
K73編成
クモハ273形 273他 4両
西桑名行
三岐鉄道北勢線 麻生田→楚原
阿下喜 クモハ273‐サハ142‐サハ136‐クハ141 西桑名

1916年(大正5年)に竣工した下笠田の明智川拱橋は長さ19.8mのコンクリートブロック橋。
No.D200_090830‐98
2009年8月30日
K73編成
クモハ273形 273他 4両
西桑名行
三岐鉄道北勢線 麻生田→楚原
阿下喜 クモハ273‐サハ142‐サハ136‐クハ141 西桑名

最後尾はクモハ273形。主電動機を持たない前3両が全長11mクラスなのに対し,270系は15m級であり体格が全く異なります。
No.D200_090830‐100
2009年8月30日
K77編成
クモハ277形 277他 4両
阿下喜行
三岐鉄道北勢線 麻生田←楚原



阿下喜 クモハ277‐サハ201=サハ101=クハ202 西桑名


下笠田八幡神社参道の踏み切りから。連接車3両を引き連れ阿下喜に向かうクモハ277。1990年に1両だけ増備された車両で前面のピラーが無くなってすっきりしています。
No.D200_090830‐101
2009年8月30日
K77編成
モ277形 モ277他 4両
阿下喜行
三岐鉄道北勢線 麻生田←楚原



阿下喜 クモハ277‐サハ201=サハ101=クハ202 西桑名


方向幕が大きくなり前照灯がサイド寄りになりナンバーが向かって右下に移動しています。
260系
No.103‐08
1985年7月15日
260系
ク161他 3両
内部行
近鉄内部線 小古曽←内部
四日市 モ261‐サ121‐ク161 内部

130形の方に挙げたク110形と同じマスクを持つク160形。こちらは新製車でク110形とは窓割りが異なっています。中間の付随車はモニ220形を電装解除したサ121でシル・ヘッダーがあり四日市方の扉が中央に寄っており荷物・旅客合造車であった特徴が残っています。車体断面も前後の新造車と異なって背が高いです。
No.103‐09
1985年7月15日
260系
ク160形ク161他 3両
四日市行
近鉄内部線 小古曽←内部
四日市 モ261‐サ121‐ク161 内部

上と同じ編成。中間車のシル・ヘッダーが目立ちます。
No.103‐10
1985年7月15日
260系モ264他 3両
四日市行
近鉄内部線 南日永→日永
四日市 モ264‐サ124‐ク114 内部

日永に向け減速中のモ264運転台。前方に日永駅手前にある踏切が見えています。運転時刻表には日永停車14時18分15秒-40秒と記載されています。
No.103‐06
1985年7月15日
右 260系モ262他 3両
中 260系モ264他 3両
左 260系モ265他 2両
近鉄内部線 内部構内
右 四日市 モ262‐サ122‐ク162 内部
中 四日市 モ264‐サ124‐ク114 内部
左 四日市 モ265‐ク115 内部

内部駅構内,隣接した田んぼのあぜ道から撮影。右側は2線の検修庫がありモ262編成,真ん中が内部駅のプラットホームでNo.103-05で乗って来たモ264編成が停車中。そして左は電留線で,260系唯一の2両編成であるモ265編成を留置中。
三岐鉄道 EL 三岐線 電車 北勢線 近鉄 特急車 近鉄 一般車 内部線 八王子線

 2024年6月1日 ページ作成開始
 2024年6月4日 ページ新設


■参考文献
  今尾恵介監修 日本鉄道旅行地図帳 8号 関西1 新潮社 2008年12月発行
  Wikipedia 三岐鉄道北勢線
  四日市あすなろう鉄道内部線 四日市あすなろう鉄道八王子線
  北勢鉄道モハニ50形電車
  三重交通サ360形電車 三重交通サ2000形電車 三重交通モ4400形電車
  近鉄260系電車 近鉄270系電車


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