EF500

 EF500はJR化後の高速大量輸送時代に適合する次世代高性能電気機関車として,直流区間用のEF200とほぼ同時に開発されました。EF500 901号機は1990年7月に落成した試作機です。電気方式:DC1,500V, AC20kV/50Hz, AC20kV/60Hz,軸配置:Bo-Bo-Bo,運転整備重量:100.8t,軸重:16.8t,歯車比:4.44,1時間定格出力:6,000kW,1時間定格速度:81.2km/h,1時間定格引張力:26,600kgf,最高運転速度:120km/h,全長:20,000mm(連結面間),全幅:2,905mm,パンタ折り畳み高さ:4,280mm,となっています。また,新採用のボルスタレス台車,シングルアームパンタグラフを採用するなど,仕様上,EF200との共通点が多く見られます。制御方式は4500V/3000A GTOサイリスタ,ISIP6Aによる非浸漬形沸騰冷却風冷式VVVFインバータ方式で,定格出力は1,150kVA×6です。また静止型GTOチョッパ,トランジスタインバータ方式による定格150kVAの補助電源装置を2台搭載しています。製造メーカは電機品を三菱電機,車体は川崎重工という「三電・川重」ペアによるジョイントで誕生しています。東北本線での運用を想定し,耐寒耐雪構造となっています。仙台総合鉄道部に所属し,東北本線にて試験を実施していました。しかしEF200と同様,6,000kWという出力に対し変電所の容量が不足した他,高調波電流による誘導障害の発生や輸送需要の変化などにより,ついに量産はされず,試作機1両のみで製造を終了しています。

分類 機関車番号 製造年月 製造所 履歴
試作機 EF500 901 1990年7月 三菱電機・川崎重工 新鶴見機関区配置, 試験運用で架線電圧降下頻発した他, インバータから発生する高調波による誘導障害発生, 2002年廃車, JR貨物広島車両所保管

EF500 901
No.232-11
1991年8月17日
EF500 901
吹田機関区


91年夏の吹田機関区公開に登場したEF500 901号機。スーパーライナーのヘッドマークが誇らしい。後から出てきたEF510と比較するとスカート形状とヘッドライトが上部にない点などかなり印象が異なります。
No.233-11
1991年8月17日
EF500 901
吹田機関区
2END側,塗り分けが斬新です。
(2023/03/06ワイド化)
No.233-6
1991年8月17日
EF500 901
吹田機関区
1END側。INVERTER HI-TECH-LOCOのロゴが格好良いのですが,6,000kWの消費電力に対し供給側の変電所が持たないとか,インバータのスイッチングで発生する高調波による誘導障害とか課題が出て,持てる能力を十分発揮できなかったようです。
(2023/03/06ワイド化)
No.232-15
1991年8月17日
EF500 901, EF200-901
吹田機関区
EF200-901と並んだEF500 901。同期でスペックは良く似ているのですが,面構えは結構違います。
(2023/03/06ワイド化)
No.233-7
1991年8月17日
EF500 901
吹田機関区
たくさんのファンの前に進み出てご挨拶をするEF500 901。フィルタの形状が独特です。
(2023/03/06ワイド化)
No.233-9
1991年8月17日
EF500 901
吹田機関区
巨大パワーを秘めた重厚な側面。このEF500 901号機は残念ながら真価を発揮できないまま2002年に廃車されてしまいました。
(2023/03/06ワイド化)

 2011年9月15日 ページ新設
 2023年3月6日 キャプション欄左右入替完了
 2023年3月6日 写真ワイド化完了
 2023年3月10日 新製車一覧表を追加


■参考文献
 新車ガイド:JR貨物EF200形 鉄道ファン354 1990年10月号 交友社
 最新JR機関車 ヤマケイレイルブックス 12 2002年3月 山と渓谷社


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