国鉄新性能電車

781系

 781系は,北海道専用の特急電車として開発された系列です。当初,485系に耐寒耐雪対策を施した485系1500番台が1975年7月から「いしかり」として投入されましたが,道内の豪雪には十分対応できず,さらに装備を強化した専用車両が必要となりました。
 そこで開発された781系は1M1T方式とし,711系の増備車と同様に,4群の混合ブリッジ回路に2基直列・2群のMT54系主電動機を駆動する構成です。機器すべてを電動車に搭載することができないため,主電動機を制御する主制御器と主抵抗器を電動車に,パンタグラフ,主変圧器,主整流器などの交流電源装置を電動付随車に振り分けて搭載することになり,電動車M+電動付随車TAのユニットが組まれました。それでも主抵抗器は床下に収まらず,屋根上に搭載されています。偶数向き(札幌方)の電動車クモハモハ781形,奇数向き(室蘭・旭川方)の電源付随車クハサハ780形としてモノクラス6連が組まれました。

781系900番台 1978年に川重で完成した試作車,6両編成1本

781系基本番台 先行車とほぼ同一の形態での量産車7本が1980年に登場,「ライラック」で営業運転開始。

781系100番台 1986年から短編成化・増発対応のため量産車のモハ781サハ780の各4両を改造し運転台取り付け。それぞれクモハ781-100番台クハ780-100番台

■ 新製車
形式 番号 製造年 主な仕様相違点
クモハ781 901 1978 試作車,奇数形式であるが偶数向き(札幌方),サハ780とMTユニット組成,主電動機MT54E(150kW),主制御器CS48,MG,CP搭載,トイレ・洗面所無し,冷房装置AU78X,定員56名
1-7 1980 量産車,愛称表示器・側面表示器・客用扉ガラス支持をHゴムから金具に変更,運転台直後の屋根上排気口廃止,冷房装置AU78
モハ781 901-902 1978 試作車,クハ780/サハ780とMTユニット組成,主電動機MT54E(150kW),主制御器CS48等,搭載機器はクモハ781と同様,トイレ・洗面所無し,定員68名
1-14 1980 量産車,1・3・11・13は後に運転台を取り付けクモハ781-100番台に改造
クハ780 901 1978 試作車,偶数形式であるが奇数向き(室蘭・旭川方),主変圧器TM13D,主整流器RS39B,パンタグラフPS102B,トイレ付き,定員64名
1-7 1980 量産車
サハ780 901-902 1978 試作車,パンタグラフPS102B搭載,冷房装置AU78X
1-14 1980 量産車,冷房装置AU78

クモハ781 1-7
No.12-21
1983年8月11日
札サウ L-5編成
クモハ781-5他 6両
ライラック
函館本線 札幌
旭川・室蘭/奇 クハ780-5+モハ781-10+サハ780-10+モハ781-9+サハ780-9+クモハ781-5 札幌

JNRマークを付けた781系ライラックが地平時代の札幌駅に停車中。485系を見慣れた目にはかなり違和感がありますが,この塗色もなかなか重厚感があって面白いと思いました。
(2023/07/30ワイド化)
No.16-37
1983年8月19日
札サウ L編成
クモハ781他 6両
ライラック
室蘭本線 室蘭
室蘭/奇 クハ780+モハ781+サハ780+モハ781+サハ780+クモハ781 札幌

終着駅室蘭で発車を待つ781系「ライラック」。東室蘭-室蘭間は,室蘭本線の枝線ですが電化されています。
(2023/07/30ワイド化)
No.241-36
1991年9月17日
札サウ L編成
クモハ781他 4両
ライラック
室蘭本線 白老→社台
室蘭/奇 クハ780+モハ781+サハ780+クモハ781 札幌

社台の直線区間をゆく781系ライラック。1986年から4両に短編成化・増便されています。
(2023/07/30ワイド化)
No.242-11
1991年9月17日
札サウ L編成
クモハ781他 4両
ライラック
室蘭本線 白老→社台
室蘭/奇 クハ780+モハ781+サハ780+クモハ781 札幌

セクションなのか運転席側の前照灯が消灯しています。なおクモハ781はJR電車編成表によると奇数向きということですが,ジャンパ栓が向かって左側にあり偶数向き設計されているものと見られます。この写真のサイド,車体と床下機器の間には各車両とも制御引き通しと思われる配管が見えますし,Wikipedia にもクモハ781は偶数向き,クハ780が奇数向きと記載されていますので,本項ではクモハ781を偶数向き車として扱います。
(2023/07/30ワイド化)

No.275-31
1992年7月24日
札サウ L3編成
クモハ781-3他 4両
快速 エアポート
千歳線 南千歳
新千歳空港/奇 クハ780-3+モハ781-6+サハ780-6+クモハ781-3 札幌

1992年の新千歳空港駅開業に伴い,「ライラック」は新千歳空港-札幌-旭川間の「ライラック」と札幌-室蘭間の「すずらん」に分割されました。札幌-新千歳空港間は一部が快速「エアポート」として運行されます。塗色変更され,新千歳空港アクセス運用に就く781系L3編成。
(2023/07/30ワイド化)
クハ780 1-7
No.17-24
1983年8月20日
札サウ L編成
クハ780他 6両
ライラック
函館本線 札幌
旭川・室蘭/奇 クハ780+モハ781+サハ780+モハ781+サハ780+クモハ781 札幌


恒例の札幌バルブ,711系と並ぶ781系「ライラック」。
(2023/07/30ワイド化)
No.193-15
1990年8月6日
札サウ L2+L編成
クハ780-2 他 8両
ライラック
函館本線 札幌
旭川・室蘭/奇 クハ780-2+モハ781-4+サハ780-4+クモハ781-2+クハ780+モハ781+サハ780+クモハ781 札幌


高架化が完成した札幌でも恒例のバルブ撮影。運転室上部に着雪防止装置が取り付けられています。この改造は1985年から行われたため,下の83年の写真には付いていません。
(2009/04/11追加 2021/07/31ワイド化)
No.193-19
1990年8月6日
札サウ L2+L編成
クハ780-2 他 8両
ライラック
函館本線 札幌
旭川・室蘭/奇 クハ780-2+モハ781-4+サハ780-4+クモハ781-2+クハ780+モハ781+サハ780+クモハ781 札幌

発車する721系と出を待つ781系「ライラック」
(2023/07/30追加)
No.242-28
1991年9月17日
札サウ L編成
クハ780他 4両
ライラック
室蘭本線 白老→社台
室蘭/奇 クハ780+モハ781+サハ780+クモハ781 札幌

樽前山を背景に4両で走るライラック。
(2023/07/30ワイド化)

 2009年4月4日 ページ新設
 2011年12月4日 キャプション追加
 2023年7月30日 キャプション欄左右入替完了
 2023年7月30日 写真ワイド化完了 (国鉄電車完)
 2023年7月30日 新製車一覧表を追加
 2023年7月30日 写真をイベント毎昇順から形式番台毎時系列に並べ替え
 2023年7月30日 新製車一覧表から写真へのリンクを追加


■参考文献
 特集:交流電化開業40年 −20000V専用車両のあゆみ− Vol.37,No.432 鉄道ファン 1997年4月 交友社
 Wikipedia 国鉄781系電車


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