阪急電車

1000系
 1000系は京阪神急行電鉄で初めての新設計高性能車で,1954年に戦後新造100両目の記念車両として4両が落成しました。軽量車体,主電動機の台車装架,WNカルダン駆動,発電ブレーキの常用など多くの新機構を採用しています。主電動機の出力は75kWx4基で,偶数号車にMGとパンタグラフ,奇数号車にCPを取り付け,新製当時の架線電圧である600Vはもちろん,将来の昇圧後の1500Vにも対応できるように設計されています。車体は窓の周りが膨らんだ独特の丸みを帯びています。台車はFS‐303で,1002のみアルストムリンクのFS‐305を履いています。
■ 新製車
形式 車番 製造年 主な仕様・相違点
1000
(Mc)
1000 1954 梅田向き,MG,パンタグラフ搭載,台車FS303
1002 1954 梅田向き,MG,パンタグラフ搭載,台車アルストムリンク式FS305試用
1001 1003 1954 神戸向き,CP搭載,台車FS303
■ 編成
←梅田 神戸→  
1002F
4両
1954年当時の編成
1010系 1100系
【写真へ】
 1010系は神戸線用の高性能車として1000系をベースに1956年から製造された形式で,1010形(Mc)1017形(Tc)1050形(T)があります。1100系は宝塚線用にギア比を変えた仕様で誕生し,1100形(Mc)1150形(Tc),増結用1140形(Mc),増結用1190形(Tc)があります。電動機は90kWx4に出力アップされ,屋根は2重構造となりファンデリアを備えています。当初は1000系と同様に全M方式でしたが,後期車ではMMMTやMTMT編成になりました。1969年の昇圧工事でブレーキ装置と制御装置を変更し,2扉車として落成した初期車も1972年に全車が3扉化されています。
■ 新製車
形式 車番 製造年 主な仕様・相違点
 1010系
1010
(Mc)
1010 1012 1014 1016 1018 1020 1022 1024 1026 1028 1956‐1958 梅田向き,パンタグラフ搭載,2扉車として落成,歯車比4.16,台車FS311 1018:FS320 1020:KS52
1011 1013 1015 1019 1023 1956‐1957 神戸向き,CP搭載,2扉車として落成,歯車比4.16,台車FS311 1019:FS320
1030 1032 1034 1036 1959 梅田向き,パンタグラフ搭載,3扉車として落成,歯車比5.76,台車FS324A
1031 1035 1959 神戸向き,CP搭載,3扉車として落成,歯車比5.76,台車FS324A
1017
(Tc)
1017 1021 1025 1027 1029 1957‐1958 神戸向き,2扉車として落成,台車1021:KS52 1029:FS324→FS33
1033 1037 1959 神戸向き,3扉車として落成,台車FS324A
1050
(T)
1050‐1056 1959‐1960 付随車,3扉車として落成,台車10501051:FS324A 1052:FS311 10531055:FS33 1056汽車エコノミカルトラック試用
 1100系
1100
(Mc)
1100‐1107 1956‐1957 梅田向き,パンタグラフ搭載,2扉車として落成,歯車比5.76,台車11001101:FS312
1108‐1117 1958‐1959 梅田向き,パンタグラフ搭載,3扉車として落成,歯車比5.76,台車FS324 1112以降FS324A
1140
(Mc)
1140‐1148 1959‐1960 梅田向き,CP搭載,3扉車として落成,歯車比5.76,台車FS324A
1150
(Tc)
1150‐1157 1956‐1957 宝塚向き,CP搭載,2扉車として落成,台車11501151:FS312
1158‐1167 1958‐1959 宝塚向き,CP搭載,3扉車として落成,台車FS324A
1190
(Tc)
1190‐1195 1961 宝塚向き,CP非搭載,3扉車として落成,台車FS324A
■ 編成 (1976年頃 7両 神戸線)
 神戸線で活躍をしていた頃の1010系・1100系で最後まで残ったのはこの6編成。1977年10月までに神戸線から撤退し今津線などに移動。梅田方にゾロメの1111や1112,1116,1117と,1の多い編成が印象的でした。点線は運転台撤去車。(1968/4/7神戸駅→三宮駅に改称)
←梅田 三宮→  
1020F
1030F
1111F Nゲージ模型
1112F
1116F
1117F
■ 編成 (1981‐1982年頃 6両 今津線)
←今津 宝塚→  
1030F 冷房化改造
■ 編成 (1983年 3両 甲陽線)
←甲陽園 夙川→  
1010F 1001は電装解除
1010‐1028(偶)
No.N8214‐30
1983年1月4日
1010F
1010他 3両
普通 甲陽園行
甲陽線 苦楽園口←夙川
甲陽園 1010‐1001‐1011 夙川

鉄コレのNゲージ化に際して戸袋窓のすりガラスの写真がほとんどなくネット上をかなり探していましたが,今頃になって自分が撮った写真が出て来ました。懐かしい日清サラダ油のゆびづめ注意のステッカーも写っていました。
(2011/05/15追加 2024/02/19ワイド化)
1011 1013 1015 1019 1023
No.N8214‐28
1983年1月4日
1010F
1011他 3両
普通 甲陽園行
甲陽線 苦楽園口→夙川



甲陽園 1010‐1001‐1011 夙川


甲山の麓に向け夙川駅を出る1010F3両編成。
(2024/03/02追加)
No.N8214‐29
1983年1月4日
1010F
1011他 3両
普通 夙川行
甲陽線 苦楽園口→夙川
甲陽園 1010‐1001‐1011 夙川

1000系1001を中間に含む3両,屋根構造の差がわかります。
(2024/02/19ワイド化)
No.N8309‐35
1983年4月
1010F
1011他 3両
普通 夙川行
甲陽線 夙川←苦楽園口
甲陽園 1010‐1001‐1011 夙川

上の写真と同じ編成です。夙川公園の桜は有名ですが残念ながら散り果てています。1010系や1100系は,R部に換気口を設けた独特な屋根形状をしています。両端の客室扉の戸袋窓はすりガラスであることは上の写真からも明確にわかりますが,増設された中央の扉の戸袋にあたる窓は光線カットの青ガラスです。
(2024/02/19ワイド化)
1030‐1036(偶)
No.N8106‐12
1981年9月2日
1030F
1030他 6両
普通 今津行
今津線 西宮北口
今津 1030‐1031+1106‐1156‐1107‐1157 宝塚

神戸線を走っていた1030Fの7連が冷改の上,6連化され今津線で活躍していました。特徴のあった屋根のルーバーは失われてしまい,人違いのように見えました。
(2024/02/19ワイド化)
No.N8201‐7
1982年1月17日
1030F
1030他 6両
普通 今津行
今津線 阪神国道←西宮北口
今津 1030‐1031+1106‐1156‐1107‐1157 宝塚

国道2号線を越える高架線を行く1030F。
(2024/03/03追加)
1108‐1117
No.N8106‐9
1981年9月2日
1112F
1112他 6両
普通 宝塚行
今津線 今津


今津 1112‐1162‐1142+1022‐1052‐1023 宝塚


今津を発車する1112F。神戸本線でなじみの1112号で非冷房車ですが本線時代とは編成を変え,6連化されています。
(2024/02/19ワイド化)
1150‐1157
No.50‐27
1984年4月22日
1113F
1155他 8両
宝塚線 十三←中津
梅田 1113‐1163‐1143‐1193+1102‐1152‐1105‐1155 雲雀丘花屋敷

宝塚線雲雀丘花屋敷発梅田行き普通を後追い撮影。堂々の8両編成,冷改されています。
(2024/02/19ワイド化)
No.N8106‐14
1981年9月2日
1030F
1157他 6両
普通 今津行
今津線 西宮北口→阪神国道
今津 1030‐1031+1106‐1156‐1107‐1157 宝塚

平面交差を通過して今津に向かう普通。上のNo.N8106‐12と同じ編成で先頭は1030です。特徴ある屋根形状は失われています。
(2024/02/19ワイド化)
No.N8201‐6
1982年1月17日
1030F
1157他 6両
普通 今津行
今津線 阪神国道←西宮北口
今津 1030‐1031+1106‐1156‐1107‐1157 宝塚

なんだかひどい写真ですが,東海道本線を鉄橋で越えるところです。上のNo.N8106‐12と同じ編成。
(2024/02/19ワイド化)
No.N8208‐17A
1982年4‐6月
1030F
1157他 6両
普通 今津行
今津線 西宮北口→阪神国道
今津 1030‐1031+1106‐1156‐1107‐1157 宝塚

神戸本線をクロスし今津へ向かう1030F。
(2024/02/19本ページ追加)

 2009年7月25日 ページ作成開始
 2009年8月15日 ページ公開
 2009年11月28日 編成表作成
 2011年11月19日 形式毎ページ分離
 2024年2月18日 1000系の新製車一覧表を追加
 2024年2月18日 Safariで半角数字列が電話番号リンクされるのを無効化
 2024年2月19日 1010系・1100系の新製車一覧表を追加
 2024年2月19日 写真ワイド化完了
 2024年2月19日 キャプション欄左右入替完了
 2024年2月19日 各写真に編成を追記
 2024年2月24日 新製車一覧表見直し
 2024年2月24日 編成表見直し
 2024年2月24日 新製車一覧表から写真へのリンク追加


■参考文献
 ・神戸大学鉄道研究会編 丙線 第30号 阪急電鉄特集 1984年11月発行
 ・篠原 丞 2000系から8000系に至る阪急電鉄新系列高性能電車の系譜 鉄道ファン 328 1988年8月号
 ・篠原 丞 2000系から8000系に至る阪急電鉄新系列高性能電車の系譜 鉄道ファン 332 1988年12月号
 ・阪急電鉄・諸河 久共著 日本の私鉄F 阪急 カラーブックス 保育社
 ・阪急電鉄開業100周年記念HANKYU MAROON WORLD 阪急電車のすべて 2010 阪急コミュニケーションズ
 ・山口益生 阪急電車 JTBパブリッシング 2012年
 ・Wikipedia 阪急1000系電車(初代),阪急1010系電車


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