新幹線

新幹線車両技術開発用試験車
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 新幹線では,より安全で快適な走行性能を確保し,かつ環境影響の低減を図るため,各種の技術課題に応じてさまざまな試験車両が開発され,その試験結果を新たな営業車両に反映することにより進化してきました。
形式 番号 製造年 仕様
1000形 1001,1002

A編成
1962
東海道新幹線試験車でB編成とともに鴨宮モデル線で256km/hの速度試験やすれ違いなど各種試験を実施,A編成は2両編成,運転台窓に曲面ガラス使用,塗色はアイボリーベース,スカートと車体上下に青20号帯,1962/8に観測ドームを設置し架線試験車として改造,1964年941形救援車に再改造
1001 汽車製造 定員56名,両板ばね式軸箱支持台車 941‐1
1002 日本車輌製造 定員80名,シュリーレンタイプ円筒案内式軸箱支持台車 941‐2
1003‐1006

B編成
1962
塗色はアイボリー地にスカートと窓周りを青20号,後にこの塗色を0系に採用, 1963年3月30日に速度向上試験実施,256km/hの世界最高速度を記録,1964年に電気検測車922形に改造
1003 日立製作所 定員70名,運転台窓に曲面ガラス使用,平行リンク式軸箱支持台車 922‐1
1004 日立製作所 定員70名,X鋼体を採用し窓は6角形,ミンデン,IS,平行リンク式軸箱装着可能な台車 922‐2
1005 川崎車輌 定員80名,軸ばり式軸箱支持台車 922‐3
1006 近畿車輛 定員80名,運転台窓に平面ガラス使用,円筒案内式軸箱支持台車 922‐4
1011‐1016

C編成
1962
A,B編成の後に日本車輌製造で新製された0系量産先行車,鴨宮モデル線でA+B編成とのすれ違い実験や12両での負荷試験など実施,0系に改番,営業用N1編成に組込み,21‐1,16‐1,22‐1は交通科学博物館を経て京都鉄道博物館で保存
1011 Mc 定員75名 21‐1
1012 M' 定員100名 26‐1
1013 Mb 定員40名,ビュッフェ併設普通車 35‐2
1014 M's 定員68名,一等車(グリーン車) 16‐1
1015 M 定員100名 25‐2
1016 M'c 定員80名 22‐1
951形 951‐1
951‐2
1969
1972/3 山陽新幹線岡山開業に向けた250km/h運転列車開発用試験車両,新幹線初のアルミ合金鋼体,ボディマウント構造,機密構造採用,1972/2/24に開業前の姫路‐西明石間で286km/h達成,1980年廃車,951‐1は鉄道総研から国分寺市に寄贈され,ひかりプラザで保存
951‐1 川崎車輌 Mc 東京向き,CP,主整流装置,主平滑リアクトル,主変圧器搭載
951‐2 日本車輌製造 M'c 新大阪向き,主制御器,主抵抗器,MGF等搭載
961形 961‐1
|
961‐6
1973
全国新幹線網に向けた50/60Hz対応編成,全M車,サイリスタバーニア連続位相制御,主電動機出力を275kWにアップ,多方面への分割併合を想定し先頭車のスカート上部に連結器常設,塗色は0系に準じた白地に青,当初山陽新幹線岡山‐博多間で試験走行し,その後1979/12/7に小山試験線で319km/hの世界最高速度を記録,1990/8/10廃車,961‐1,961‐6のみ塗色を200系のカラーリングに変更し新幹線総合車両センターで保存
961‐1 川崎重工業 Mc 通常車両 スノウプラウ追設
961‐2 川崎重工業 M' 通常車両 腰掛設置
961‐3 日本車輌製造 Md 食堂車 36形のベース
961‐4 日本車輌製造 M'n 寝台車,個室
961‐5 日立製作所 内装なし 剛性,補強材試験用
961‐6 日立製作所 M'c 通常車両
962形 962‐1
|
962‐6
1979
東北・上越新幹線営業車両(200系)の先行試作として製作した試験車両,50Hz専用,全M車,先頭車スカートにスノープラウ,各車側面に雪切り室設置等徹底した耐寒耐雪対策,アルミ合金,ボディマウント構造,1979/2から1980/6まで小山試験線で試験実施,上越新幹線開業後の1983/1/17に電気試験車に改造,925形10番台と改番され921‐41を加えた7両でS2編成として地上設備検測と速度向上試験に使用,2003/1/25廃車
962‐1 日立製作所 Mc 925‐11
962‐2 近畿車輛 M' 925‐12
962‐3 東急車輌製造 M 925‐13
962‐4 日本車輌製造 M' 925‐14
962‐5 川崎重工業 M 925‐15
962‐6 川崎重工業 M'c 925‐16
952形
953形

STAR21
952‐1
|
952‐4

953‐1
|
953‐5
1992
JR東日本が騒音,微気圧波,地盤振動低減などの環境対策のため製作した試験車両,953形は連接構造で5‐8号車は18m車,アルミダブルスキン構造(1‐3号車),アルミハニカムパネル構造(4,5号車),ジュラルミンリベット構造(6‐9号車)の3種類を採用,JR東日本の新幹線で初のVVVFインバータ搭載,パワー半導体はGTOを使用,1992/3/27から東北新幹線仙台‐北上間で走行試験を開始,1993/12/21に上越新幹線越後湯沢‐新潟間で425km/hを達成,1998/2/17付廃車,952‐1は米原の鉄道総研風洞技術センターで保存,953‐5953‐1が利府の新幹線総合車両センターで保存
1号車 952‐1 日本車輌製造 Tc 56名 1993年Mcに改造
2号車 952‐2 日本車輌製造 M 63名
3号車 952‐3 日本車輌製造 M' 72名
4号車 952‐4 日立製作所 Ts 34名 1993年M車に改造
5号車 953‐1 日立製作所 T 56名
6号車 953‐2 川崎重工業 M 48名
7号車 953‐3 川崎重工業 M' 48名
8号車 953‐4 川崎重工業 M 48名
9号車 953‐5 川崎重工業 M'c 46名
500系900番台

WIN350
500‐901
|
500‐906
1992
JR西日本が最高速度350km/hでの営業運転に必要なデータを収集するため開発した高速試験車,WIN350West Japan Railway's Innovation for the operation at 350km/hの略,GTOによるVVVFインバータ制御で3両1ユニット,全M車,空力音や微気圧波を考慮し車体高さを3,300mmに抑え外観は扁平,製造は川崎重工業と日立製作所,1992/4落成,博多総合車両所に配置され6/8から試験開始,編成番号はW0,8/9には小郡‐新下関間での高速試験で350.4km/h達成,1996/5/31廃車,500‐901は米原の鉄道総研風洞技術センターで保存,500‐906は博多総合車両所に保存
1号車 500‐901 川崎重工業 M'1c フラット形状
2号車 500‐902 川崎重工業 M'1p
3号車 500‐903 川崎重工業 M1 トイレ設置
4号車 500‐904 日立製作所 M2 座席
5号車 500‐905 日立製作所 M'2p
6号車 500‐906 日立製作所 M2c キャノピー形状
955形

300X
955‐1
|
955‐6
1994
JR東海が300系の次世代新幹線技術を実験するために製作した高速試験車,通称300X,編成番号A0,1996/7/26,米原‐京都間で443.0km/hを記録,2002/2廃車,955‐1は米原の鉄道総研風洞技術センターで保存,955‐6はリニア・鉄道館で保存
1号車 955‐1 三菱重工業 Mc カスプ型,ジュラルミンリベット接合
2号車 955‐2 日本車輌製造 M アルミダブルスキン構造
3号車 955‐3 川崎重工業 M アルミシングルスキン
4号車 955‐4 日本車輌製造 M アルミ中空大型押出形材
5号車 955‐5 日立製作所 M アルミハニカム
6号車 955‐6 日立製作所 Mc ラウンドウェッジ型,ろう付けアルミハニカム
E954形

FASTECH 360 S
E954‐1
|
E954‐8
2005
JR東日本が最高速度360km/hの営業運転のためデータ収集を目的に開発した試験車両,FASTECHはFast Technology,Sは新幹線を意味する,車体傾斜装置,全周ほろ,ネコミミ状の空力ブレーキを備える,編成番号はS9,2005/6/25から仙台‐北上間で走行試験を実施,2009/9/7廃車,解体
1号車 E954‐1 日立製作所 T1c ストリームライン型
2号車 E954‐2 日立製作所 M1 1ユニット,定員85名
3号車 E954‐3 日立製作所 M2 1ユニット,定員94名
4号車 E954‐4 川崎重工業 M2 2ユニット
5号車 E954‐5 川崎重工業 M1s 2ユニット,グリーン車,定員51名
6号車 E954‐6 川崎重工業 M2 3ユニット,定員75名
7号車 E954‐7 川崎重工業 M1 3ユニット,定員83名
8号車 E954‐8 川崎重工業 T2c アローライン型
E955形

FASTECH 360 Z
E955‐1
|
E955‐6
2006
JR東日本の新在直通向け高速試験車両でE954系とより一回り小さい,Zは在来線の意,先頭形状はE954‐8と同じアローライン型,空力ブレーキ搭載,2006/8に編成の方向転換を実施(下表は方転後),東北新幹線仙台‐北上間,秋田新幹線盛岡‐秋田間などで走行試験実施,2008/10に試験終了,同年12/12廃車
11号車 E955‐1 川崎重工業 M2c 1ユニット,先端長は13m
12号車 E955‐2 日立製作所 M1s 1ユニット,グリーン車,定員25名
13号車 E955‐3 日立製作所 M1 1ユニット,定員71名
14号車 E955‐4 川崎重工業 M1 2ユニット
15号車 E955‐5 川崎重工業 M1 2ユニット
16号車 E955‐6 川崎重工業 M2c 2ユニット,先端長は16m
E956形

ALFA‐X
E956‐1
|
E956‐10
2019
JR東日本の高速運転試験車両,愛称ALFA‐XはAdvanced Labs for Frontline Activity in rail eXperimentationに由来,北海道新幹線札幌開業を視野に360km /h営業運転が可能な営業車両の開発を目的とする,編成番号S13,2019/5報道公開,2020年に仙台‐新青森間で360km/h走行での5G無線通信の実証実験を実施
1号車 E956‐1 川崎重工業 M1c
2号車 E956‐2 川崎重工業 M1
3号車 E956‐3 川崎重工業 M2
4号車 E956‐4 川崎重工業 M2
5号車 E956‐5 川崎重工業 M1
6号車 E956‐6 川崎重工業 M1
7号車 E956‐7 日立製作所 M2
8号車 E956‐8 日立製作所 M2s グランクラス
9号車 E956‐9 日立製作所 M1s グリーン車
10号車 E956‐10 日立製作所 M2c
961形
No.439‐25A
2005年7月30日
961‐1
新幹線総合車両センター
961‐1。もともと山陽新幹線岡山‐博多間で試験していた時代には分割併合を意識した連結器が取り付けられており,塗色も0系に準じたものでした。1979年に小山試験線で試験走行をするために浜松工場で必要な機器やスノープラウが取り付けられました。
(2022/09/02追加)
No.D70s_050730‐87
2005年7月30日
961‐6
新幹線総合車両センター



現役当時,廃車まで0系塗装だった961形ですが,保存にあたってカラーリングを白地に緑の200系カラーに変更しています。
953形
No.D70s_050730‐11
2005年7月30日
953‐5+953‐1 961‐1
新幹線総合車両センター
右側は961‐1で,スノウプラウが付いており,一見200系に見えます。一方の953‐5はジュラルミンリベット構造。角ばったノーズがロゴや塗色も相まってスターウォーズに出てきそう。STAR21ロゴの下にSPEED RECORD 425km/hの表示があります。
No.D70s_050730‐72
2005年7月30日
953‐5+953‐1
新幹線総合車両センター
953形は連接構造を採用しており,ボギー台車と連接台車を備えた953‐1(T車)が952形とのインターフェースとなっていました。この構造が幸いし,連接構造の先頭車953‐5の保存にあたり,953‐1もちゃっかり解体を免れたと思われます。
955形
No.D700_120104‐449
2012年1月4日
955‐6
リニア・鉄道館
リニア・鉄道館に展示されている955‐6。背景は試験走行時の画像。
No.D700_120104‐451
2012年1月4日
955‐6
リニア・鉄道館
ラウンド・ウエッジ型の先頭形状。
No.D700_120104‐461
2012年1月4日
955‐6
リニア・鉄道館



編成番号はA0。上からのアングルだととてもシンプル。
No.D700_120104‐462
2012年1月4日
955‐6
リニア・鉄道館
山梨実験線のリニアモーターカーMLX01‐1と並んだ955‐6。
E954形
No.D70s_050730‐134
2005年7月30日
E954‐8
新幹線総合車両センター
8号車,E954‐8のアローライン形状の先頭部。キャノピーとライトがE6系に近い形をしています。
No.D70s_050730‐130
2005年7月30日
E954‐6
新幹線総合車両センター
第3ユニットの6号車,E964‐6の全周ほろ。
No.D70s_050730‐131
2005年7月30日
E954‐8
新幹線総合車両センター
乗務員扉がすごいことになってます。塗り分けはE5系に近く,見づらいですが編成番号はS9。
No.D70s_050730‐132
2005年7月30日
E954‐8
新幹線総合車両センター
空気ばねによる車体傾斜を実現するボルスタレス台車。1,2,5‐8号車の軸箱支持方式は軸ばり式。
No.D70s_050730‐132
2005年7月30日
E954‐8
新幹線総合車両センター
Fastech 360 Sのロゴ

 2022年8月28日 ページ新設
 2024年10月1日 編成表レイアウト調整


■参考文献
 ジェー・アール・アール JR電車編成表 '92冬号
 Wikipedia 試験車
 Wikipedia 新幹線1000形電車
 Wikipedia 新幹線951形電車
 Wikipedia 新幹線961形電車
 Wikipedia 新幹線962形電車
 Wikipedia 新幹線952形・953形電車
 Wikipedia 新幹線500系電車900番台
 Wikipedia 新幹線955形電車
 Wikipedia 新幹線E954形電車
 Wikipedia 新幹線E955形電車
 Wikipedia 新幹線E956形電車


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