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60系客車

 60系客車は,国鉄が1949〜1956年に木造客車を改造して鋼製客車とした客車の形式群です。明治時代から大正時代にかけて製造され老朽化した17m級の木製客車の台枠を再利用して繋ぎ合わせることにより,20m級の鋼体化改造車を製造しました。車体,妻板,屋根などは鋼板で新製しています。この結果,17mの木製客車4両と基本形客車1両の計5両から20m級の鋼体化改造車4両が製造されました。

車種 形式 (改造は一部のみ記載) 特徴
三等車 オハ60,オハフ60 木造車時代の狭窓を継承したタイプ。オハ60は1949年から1950年に390両製造,定員96名。オハフ60は1950年から70両製造
オハ61,オハフ61 本州以南向け広窓タイプ。オハ61は1951年から1052両,オハフ61は795両を施工。オハフ61では初めて車掌室を車端部に移し,客車との間に出入台を設ける構成を採用
オハ62,オハフ62 北海道向け広窓タイプ。窓幅は1mで2重窓と巻き上げカーテンを装備
二等車 スロ60,スロ61→スロ50(新製時形式変更)
[改]オハ61→オロ61
[改]オハ61/オロ61→オロフ61
[改]冷房化:オロ61→スロ62
[改]冷房化:オロフ61→スロフ62
当初から優等車として製造されたスロ60,スロ50と,後年オハ61から改造された車両がある。冷房化に際しては低屋根化した上で屋根上に冷房装置を5基設置,床下にディーゼル発電機を設置
和式客車
(81系)
[改]スロ62→スロ81
[改]スロフ62→スロフ81
1972年から,冷房搭載車のスロ62グループをベースに和式客車のみの半固定編成を組む前提で改造し,スロ81形28両,スロフ81形14両が誕生。6両編成×7本を各鉄道管理局でお座敷列車として運用
合造車 オハユ61,オハユニ61,オハユニ62,オハユニ63,オハユニ64,スハニ61,スハニ62,オハニ63
[改]軽量化:スハニ61→オハニ61
[改]台車交換:オハニ63→オハニ36,スハニ37
[改]EG付:オハニ61→スハニ64
全形式20m級の鋼体化改造車。オハユニ62,64,スハニ62は北海道向け,オハニ63はTR11からTR52に台車交換しオハニ36に形式変更,スハニ37はEG付
郵便・荷物車 オユ60,オユ61,スユニ60,マニ60,マニ61
[改]オハニ61/オハユニ61→スユニ61
[改]スロ50/スロ60→マニ36,マニ37
全形式20m級の鋼体化改造車。1955年にオユ60全車がオユ61に改造編入。マニ37はパレット荷役対応で車体色は青15号。マニ61はスハ32系と台車交換しTR23を装着
事業用車 [改]オハニ36/スハニ37→オヤ33
[改]オハフ61→オヤ60
[改]オハユニ61/オハフ61/スロフ62→オヤ61
[改]スロフ62→スヤ61
[改]オハニ61→オヤ62
[改]オハ62/オハフ60→オヤ90
[改]マニ60→オル60
[改]オハニ36→オエ36
[改]オハフ61/オハユ61/オハニ61/スハニ62/オハユニ61/スユニ61/マニ60/マニ61/オル60/マニ36/マニ37→オエ61
オヤ33はED75用の教習車,オヤ60は職員輸送用の職用車,オヤ61は教習車,スヤ61は鉄道労働科学研究所の試験車,オヤ62は工事用宿泊車,オヤ90は新幹線用雪害対策試験車,オル60は配給車,オエ36,オエ61は救援車
各形式とも電気暖房付は基本番号+2000を付与

オハフ61
No.N8207-02
1982年3月16日
オハフ61
[60系客車]
五能線 鯵ヶ沢
60系客車が往来していた五能線の風景。ネガの変色が酷いのでモノクロ化。貫通幌にいた人物を加工で消したので出入台の扉は写っていません。当時は柵も鎖もなく,このままの状態で走行しており,後部展望は最高でしたが結構スリリングでした。
(2022/10/07追加)
No.N8207-01
1982年3月16日
オハフ61
[60系客車]
五能線 鯵ヶ沢
鋼体化改造車オハフ61の車内。背もたれはニス塗りの板で簡素なつくりでした。
(2022/10/08追加)
No.N8207-04
1982年3月16日
オハフ61
[60系客車]
五能線 鯵ヶ沢〜深浦
五能線を走行中のオハフ61車内。白熱灯が点いてローカルムードが高まりました。
(2022/10/07追加)
オハ62
No.18-27
1983年8月23日
DE10+オハ62 76
[60系客車]
釧網本線 釧路



DE10牽引の釧網本線普通列車に使われているオハ62 76の車内。オハ62は北海道向けの広窓車で,二重窓となっています。車内灯は蛍光灯。
(2022/10/07追加)
オハユニ61
No.437-36
2005年6月12日
オハユニ61 107
[60系客車]
碓氷峠鉄道文化むら
支線で活躍したオハユニ61。普通(旧三等)座席・郵便室・荷物室の合造車で,郵便や荷物輸送量が比較的少ない地方線区の列車で用いられ,全国津々浦々への郵便物輸送に貢献しました。オハユニ61 107は,1921年製造のナハ24644を1955年11月に鋼体化改造した車両で,五能線での活躍を最後に1987年2月に廃車されました。
(2022/10/06 ワイド化)
No.D200_070805-94
2007年8月5日
オハユニ61 107
[60系客車]
碓氷峠鉄道文化むら
荷物室側から。荷物室,郵便室,普通(旧三等)座席に区分されています。
(2022/10/06 ワイド化)
オハニ36
No.D200_110503-35
2011年5月3日
オハニ36 11
[60系客車]
上越線 峠鉄道文化むら
高崎車両センターで動態保存されているオハニ36 11。オハニ36は1955年から1956年の間に30両が鋼体化改造により製造された,優等列車用の三等座席荷物合造車で,三等室はスハ43系に準じた造りとなっています。製造当初は暫定でTR11を装備し,オハニ63と称していましたが,この台車は優等列車に適さないため,1956年から1957年の間に台車をTR50系に準じた設計のTR52に交換し,オハニ36に形式変更されました。
(2022/10/08追加)
スユニ60
No.18-30
1983年8月24日
スユニ60
[60系客車]
640レ
釧網本線 斜里
6:57に斜里を発車する網走行き640列車。DE152508の牽引する客車列車の最後尾に連結されたスユニ60。60系客車に分類されます。
(2022/10/06 ワイド化)

マニ37
No.21-14
1983年8月29日
マニ37 [金
フイ]
[60系客車]
北陸本線 福井
福井駅構内に留置中のマニ37。マニ37は1967年以降37両が製作された新聞パレット荷役対応荷物車で,一般のばら積み荷物車と区別するために青15号が塗られています。60系客車からは,スロ50から8両,スロ60から12両が改造され,台車はTR47からTR23に振り替えられています。福井といえば,上野-福井間の急行「越前」には上野方にマニ37が付き,オロネ10,オハネフ13×2,スロ62,オハ47×3,オハフ45で編成されていました。したがって写真の留置車は1982年11月15日付で廃止になった「越前」の車両と思われます。
(2022/10/09追加)
オエ61
No.61-35
1984年7月25日
オエ61 32
[60系客車]
敦賀第二機関区
敦ニ区撮影会の際,EF70に混ざって撮影したオエ61。オエ61は救援用の物資や作業員の輸送に使用する救援車で,0番台100量,300番台19両,600番台3両,合計122両が1966年から1981年までに改造されました。マニ60形からの改造が多数を占めますが,その他,オハフ61,オハユ61,オハユニ61,オハニ61など鋼体化改造した61系客車の再改造車が多数ありました。写真のオエ61 32はマニ60 2417からの改造車で,松任工場で改造工事を実施しています。1987年1月14日付で廃車となりました。
ナハフ25058→マニ60 417→マニ60 2417→オエ61 32
(2009/12/26追加 2022/10/06 ワイド化)
No.194-06
1990年8月7日
オエ61 67
[60系客車]
宗谷本線 豊富
サロベツ原野の玄関,豊富駅前に保存されているオエ61 67。この車両,元々はナハ22795として製造され,鋼体化改造でマニ60 21になりました。その後,電気暖房追設でマニ60 2021と改番されました。オエ61 67はこのマニ60 2021を種車として改造された救援車で,最終配置は北見客貨車区,1990年6月7日付で廃車となっています。
(2022/10/06 追加)
No.194-27
1990年8月7日
オエ61 67
[60系客車]
宗谷本線 豊富
車体側面中央の形式標記の下部に小さく「救援用」の標記があります。台車はTR11。
(2022/10/06 ワイド化)
スロ81・スロフ81 [81系和式客車]
No.24-7
1983年10月30日
EF58+81系客車[大ミハ]
ミハ座 8208レ
東海道本線 芦屋→西ノ宮
スロ62・スロフ62改造の大鉄局持ち81系お座敷列車「ミハ座」。後ろから2両目のスロ81が微妙に腰高なのがいつも気になっていました。この原因を辿ってみると,種車の種車であるオロ61・オロフ61を冷房化しスロ62・スロフ62に改造した際,屋根上にクーラーユニットを搭載するため低屋根に改造したわけですが,改造を担当した工場により雨樋の設置高さが高低2種類あり,ミハ座ではそれら2種類の種車が混在しているようです。なお,AUクーラーのキセも角型と丸みのあるタイプの2種類があり,3,4号車は丸型,他は角型です。
(2022/10/06 ワイド化)
No.87-10
1985年1月8日
EF58 150+81系客車[大ミハ]
ミハ座
東海道本線 芦屋→西ノ宮
81系和式客車は自車の床下にディーゼル発電機をを搭載しており冷房を使えましたが,冬季の暖房は機関車から蒸気暖房 (SG) あるいは電気暖房 (EG) 用電源の供給を必要としました。EF65PFはSGもEGも持たないため,東海道・山陽本線関係のEF58のほとんどは1984年3月で休車となりましたが,この「ミハ座」の冬季運用のため,SGを装備する宮原機関区のEF58 (126・127・150号機) の3両が延命され,1985年春まで活躍しました。ゴハチファンにとっては忘れられない思い出です。
(2022/10/06 本ページに追加)
No.11-11
1983年8月8日
EF58 68+81系客車[南シナ]
シナ座 お座敷踊り子
東海道本線 根府川
  
東京南鉄道管理局所属のお座敷列車「シナ座」。東機のゴハチ牽引で伊豆に向かうお座敷踊り子号として運用中のシーン。1号車から順に,スロフ81 2114-スロ81 2125-スロ81 2126-スロ81 2128-スロ81 2127-スロフ81 2113の編成。
(2022/10/06 ワイド化)
No.135-25
1986年10月6日
EF6242+81系客車[水ミト]
ミト座 ふれあい
東北本線 東十条付近
上の81系「シナ座」は「12系江戸」の落成により水戸鉄道管理局に転属し「ミト座・ふれあい」となりました。
(2022/10/06 ワイド化)
No.164-34
1989年5月19日
EF8115+81系客車[水ミト]
ミト座 ふれあい
常磐線 常陸多賀
「ミト座」は,転属後しばらくは青15号塗色のままでしたが,最後にこのようなぶどう色2号にグリーン帯に変更されました。
(2022/10/06 ワイド化)

 2008年10月18日 スロ81・スロフ81系のTESTページ新設
 2009年3月16日 旧型客車のTESTページ新設
 2009年5月16日 キャプション記載
 2022年9月29日
    〜10月4日 形式一覧表作成
 2022年10月4日 スロ81・スロフ81のページを本ページの60系客車に集約
 2022年10月4日 職用車のページからオヤ31,スヤ42,スヤ32,スヤ52,オエ61を本ページに移設
 2022年10月6日 写真ワイド化完了
 2022年10月7日 オハ31系,スハ32系,オハ35系,70系,60系,スハ43系,10系の各ページに分割
 2022年10月7日 形式一覧表に各形式の概要記載

■ 参考文献
 Wikipedia 国鉄60系客車


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