長崎電気軌道
 長崎電気軌道は1914年に設立され1915年11月16日に病院下(長崎大学病院付属病院付近)‐築町(長久橋付近)の区間で開業しました。2024年現在5路線を有しており,合計11.5km,軌間は1,435mm,DC600V・架空電車線方式で電化されています。
■ 路線
路線名 区間 営業キロ 駅数 開業年月日 備考
赤迫支線 赤迫‐住吉 0.3km 2 1960年5月8日
本線 住吉‐崇福寺 7.0km 25 1915年11月16日 1968年6月17全通
2018年8月1日 正覚寺下→崇福寺に改称
桜町支線 長崎駅前‐市役所 0.9km 3 1919年12月25日 2018年8月1日 公会堂前→市民会館に改称
2023年1月4日 市民会館→市役所に改称
大浦支線 新地中華街‐石橋 1.1km 5 1916年12月28日
蛍茶屋支線 西浜町‐蛍茶屋 2.2km 7 1920年7月9日 1934年12月20日全通
駅数には両端駅を含む
■主な車両 (撮影済系列他)
形式 車両番号 車両数 入線時期 特徴・経歴
201形 201 203 205 207 209 5 1950 日立製作所笠戸工場製,西鉄福岡市内線561形類似,半鋼製車体,窓配置D9D,最大長11,000mm,主電動機38kWx2,吊り掛け駆動,直接制御,台車日立SA‐W1,1987年冷房化完了
202形 202 204 206 208 210 5 1950 日本車輌製,仕様同上,台車日車K‐10,1988年冷房化完了
211形 211‐216 6 1951 日立製作所笠戸工場製,仕様・性能は201形踏襲,台車日立KBD‐12,1985年近代化改装・冷房化,行先表示器自動化・大型化
300形 301‐310 10 1953‐1954 日立製作所笠戸工場製,基本仕様は211形と同様,台車日立KBD‐12B
360形 361‐367 7 1961 日本車輌製,昭和56年に合わせ360形とした,全金属製2軸ボギー車,方向転換不要のZ形パンタグラフ,コイルばね台車,乗車扉を中央に寄せ窓配置をD4D3に変更,室内灯の蛍光灯化などの新機軸搭載,主電動機38kWx2,直接制御
370形 371‐377 7 1962 日本車輌製,昭和37年に合わせ370形とした,基本性能は360形に準じる,バンパーや運転台部分の台枠を強化,窓下に通風孔設置,正面行先表示器の上下方向を拡大し左右に尾灯を設置
500形 501‐506 6 1966 ナニワ工機製,台車や主要機器は大阪市電1701形の廃車発生品を流用,ワンマン対応設計,全長は500mm延長し11,500mm,主電動機38kWx2,吊り掛け駆動,直接制御,中扉に引戸を採用
1200形 1201‐1205 5 1982 アルナ工機で軽快電車2000形に準じた構造の車体を製造,浦上車庫で従来の台車・電装品を儀装,車体長11,700mm,主電動機38kWx2,吊り掛け駆動,直接制御,車内はロングシート
1202‐1205は2003年以降リニューアルし1200A形に更新,台車・主電動機を北九州線600形の発生品に換装,主電動機45kWx2,制動システム二重化,間接制御
1300形 1301‐1305 5 1987‐1989 アルナ工機で車体のみ新製し機器類は予備品・中古品を流用した車体更新車,車体長11,700mm,主電動機38kWx2,吊り掛け制御,直接制御
1500形 1501‐1507 7 1993‐1997 アルナ工機で車体のみ新製し中古の台車・電装類を組み合わせた車体更新車,前照灯・尾灯が横並びになり側面窓を削減,大型化,主電動機45kWx2,吊り掛け駆動,直接制御
1507は2010年に間接制御化などリニューアルし1500A形に更新
1800形 1801‐1803 3 2000・2002 アルナ工機で車体のみ新製し主要機器を廃車発生品から流用する機器更新車,車体構造を一新し12m級に大型化,正面デザインは行先表示器と曲面ガラスを使用した前面窓を一体化,制御機器に間接制御を採用,車体長12,140mm,主電動機45kWx2
2000形 2001 2002 2 1980 軽快電車として実証試験された広島電鉄3500形に続く初の量産車,アルナ工機・川崎重工業製,主電動機120kWx1,直角カルダン駆動,サイリスタによる電機子チョッパ制御
5000形 5001‐5003 3 2011・2012・2019 アルナ車両製リトルダンサーUaタイプ超低床電車,3車体2台車構造,全長16,300mm,主電動機85kWx2 かご形誘導電動機,IGBT‐VVVFインバータ・SIV一体型,車体装架カルダン駆動
201形 201 203 205 207 209
No.D700_190821‐015
2019年8月21日
201形 201号
5系統 石橋行
蛍茶屋支線 めがね橋
市民会館
長崎カステラの老舗,松翁軒本店前をゆく201号。5系統石橋行き。201形は長崎電軌初の2軸ボギー車で,木製の二枚折戸を車体前後,左右対称に配置しており窓配置はD9Dとなっています。1969‐1973年にワンマン化され,バックミラー・放送設備の設置,乗降扉の自動化,前面窓ワイパーの設置,前面窓上段固定化,行先表示器,前照灯の移設,ビューゲルのZパンタ取替えなどが実施されています。また冷房化は1987年に完了していますが,その際,車体の補強のために張り上げ屋根に改造されておりスマートな印象になりました。
(2024/05/16シャドー調整)
No.D700_190821‐016
2019年8月21日
201形 201号
5系統 石橋行
蛍茶屋支線 めがね橋
市民会館
広告も無く美しい車体。公会堂前の電停は2018年8月1日に市民会館に改称,その後2023年1月4日には市役所に改称されています。
211形 211‐216
No.N8305‐8A
1983年3月8日
211形 212号
5系統 石橋行
蛍茶屋支線 賑橋→西浜町
石橋行きの212号が西浜町電停に進入するシーン。新製時の車体で屋根の構造が現在と異なっています。窓下はもちろん窓上にも金具を設けて横長のスローガンを掲げています。この写真はネガの色彩修復に時間を要しましたが,撮影地の特定にも案外苦労し,ストリートビューとGoogle検索,当時の旅行記録まで持ち出す事態になりました。正面が塞がったT字路に見えたのが混乱の元で,実際には蛍茶屋方面への支線は左折しておらず,正面の紀伊國屋(本屋ではなく寝具店のようです)の左側斜め前方に延びています。一方,右に曲がるのが本線で,正覚寺下(現崇福寺)に向かっています。現在,紀伊國屋はPeace Parkというパチンコ屋になっており,正面の細いビルは現存,その右側はベスト電器になっています。右の銀行はSMBC日興証券のビルになっています。
(2024/05/16色調整)
No.D700_190822‐063
2019年8月22日
211形 215号
3系統 蛍茶屋行
桜町支線 長崎駅前→桜町
長崎駅前で本線から分岐し市民会館,蛍茶屋方面に向かう215号。上の212号の時代から,冷房改造,張り上げ屋根化(雨樋),側面電幕取り付け,正面電幕大型化,正面窓(左右)の黒Hゴム支持化)などが変化しています。また,これらに加え,側面上部の広告取り付け金具が撤去され,腰部の広告類もなく,とてもすっきりとしています。
No.D700_190822‐058
2019年8月22日
211形 216号
1系統 赤迫行
本線 五島町→長崎駅前
216号は腰部に広告を取り付けています。側面の広告はフル規格新幹線の長崎乗り入れに関するもの。西九州新幹線は2022年9月23日に長崎から武雄温泉まで開業しましたが,九州新幹線との接続の見通しが立っていないようで,今後の動きに注目です。
No.D700_190822‐058
2019年8月22日
211形 216号
1系統 赤迫行
本線 五島町→長崎駅前


上と同じ車両を後方から狙いました。ツートンカラーが美しい。
300形 3011‐310
No.D700_190821‐019
2019年8月21日
300形 301号
4系統 蛍茶屋行
蛍茶屋支線 市民会館
市民会館に停車中の301号。市民会館は2018年8月1日に公会堂前から改称されましたが,2023年1月4日に新市庁舎完成により市役所へ再変更されています。
No.D700_190822‐051
2019年8月22日
300形 307号
貸切
桜町支線 長崎駅前←桜町
貸切の運用に就く307号。遠足の児童らが乗車中。
No.D700_190821‐025
2019年8月21日
300形 308号
3系統 蛍茶屋行
蛍茶屋支線 市民会館
諏訪神社
桜町支線から蛍茶屋支線に入る308号。
No.D700_190821‐034
2019年8月21日
300形 310号
3系統 赤迫行
桜町支線 桜町→長崎駅前
桜町支線から長崎駅前に入る310号。310号は1954年,アルミサッシ側窓,弾性車輪,運転士用座席の設置など日立製作所のモデルカーとして製作され当初は塗り分けも他車と異なっていたようです。
360形 361‐367
No.D700_190821‐012
2019年8月21日
360形 364号
5系統 蛍茶屋行
蛍茶屋支線 めがね橋
市民会館
昭和36年に製造された360形は乗車扉を中央に寄せ,窓配置がD4D3となっています。めがね橋電停を発車し蛍茶屋に向かう364号。長崎銀行とSUGOCAの広告で真っ赤に塗られています。
No.D700_190821‐014
2019年8月21日
360形 364号
5系統 蛍茶屋行
蛍茶屋支線 めがね橋
市民会館
長崎銀行本店の前をゆく364号。
No.N8305‐11A
1983年3月8日
360号 365号
1系統 正覚寺下行
本線 浜口町‐松山町


国鉄(現JR)の高架と併走する区間で。正覚寺下行きの365号とすれ違い。前に見える停留所は松山町。なお2018年に,浜口町は原爆資料館,松山町は平和公園とそれぞれ改称されています。1201号車内から撮影。
No.D700_190822‐056
2019年8月22日
360形 366号
1系統 崇禅寺行
本線 五島町←長崎駅前


萌え系の全面広告車となっている366号。下の方に366号のパールライス色の写真があります。
370形 371‐377
No.D700_190822‐048
2019年8月22日
370形 371号
3系統 蛍茶屋行
桜町支線 長崎駅前→桜町
紅白のカラーリングに塗られた371号。昭和37年から370形として371‐377の7両が増備されています。基本仕様は360形に準じていますが,バンパーや運転台部分の台枠強化,正面通風孔の設置,正面行き先表示器の上下寸法拡大とその左右に尾灯設置など細かい部分が改良されています。
No.N8305‐9A
1983年3月8日
左 360形366号 1 赤迫行
右 360形376号 4 正覚寺下行
本線 正覚寺下‐思案橋
赤迫に向け発車していく水晶米の広告車376号と,蛍茶屋からのパールライス号366。ネーミングが変わっていった過渡期のシーン。正覚寺下は電停が単線となっています。なお,正覚寺下は2018年に崇福寺に変更されています。昭和36年製の360形と昭和37年製の370形は,正面窓の形状,標識灯,排障器の形状が異なっています。
No.D700_190821‐027
2019年8月21日
370形 376号
3系統 赤迫行
蛍茶屋支線 市民会館
諏訪神社
長崎銘菓の広告をまとった376号が桜町支線に入る。後ろは308。
500形 501‐506
No.D700_190822‐043
2019年8月22日
500形 506号
1系統 崇福寺行
本線 五島町←長崎駅前



1系統崇福寺行きの運用で長崎駅前を発車していく506号。
No.D700_190822‐044
2019年8月22日
500形 506号
1系統 崇福寺行
本線 五島町←長崎駅前
石畳の上をゆく506号を後追い撮影。
1200形 1201‐1205 [1202‐1205は2003‐2005年にリニューアルし1200A形に更新]
No.N8305‐14A
1983年3月8日
1200形 1201号
1系統 正覚寺下行
赤迫支線 赤迫
赤迫支線の終点である赤迫に到着,折り返し作業中の1201号。1200形は1982年に導入された機器更新車。
(2024/05/17色調整)
No.N8305‐10A
1983年3月8日
1200形 1202号
1系統 赤迫行
本線 正覚寺下
正覚寺下に到着する1202号。ここには電車用の矢印信号jがあります。
No.D700_190821‐017
2019年8月21日
1200形 1202号
5系統 蛍茶屋行
蛍茶屋支線 めがね橋
市民会館
公会堂前通りをゆく上と同じ1202号,全面広告車となっています。この1202号はリニューアル工事を実施し,2005年4月16日付けで1200A形に改造されています。なお,5系統は大浦支線の石橋と蛍茶屋支線の蛍茶屋を結ぶ路線。
No.D700_190821‐031
2019年8月21日
1200A形 1203号
5系統 蛍茶屋行
蛍茶屋支線 市民会館
京急塗色が良く似合っているの1203号。リニューアル工事を受け2004年5月20日付けで1200A形に改造されています。
No.N8305‐12A
1983年3月8日
右1200形1204号 1正覚寺下行
左 211形214号 3 蛍茶屋行
本線 浦上車庫前→岩屋橋



専用軌道から併用軌道に入るところ。右側の建物にある「ミニファクス」「ホームテレボンド」から特定できました。現在テルウェル西日本になっています。1201号車内から撮影。当時の運賃は80円でした。
No.D700_190822‐047
2019年8月22日
1200A形 1205号
1系統 赤迫行
本線 五島町→長崎駅前


上の写真の1980年代と変わらない塗色の1205号。リニューアル工事を受け,2003年2月17日付けで1200A形に改造されています。
1300形 1301‐1305
No.D700_190822‐040
2019年8月22日
1300形 1304号
1系統 崇福寺行
本線 五島町←長崎駅前


ラッピングされた1304号。
No.D700_190821‐011
2019年8月21日
1300形 1305号
4系統 崇福寺行
蛍茶屋支線 めがね橋
市民会館
長崎銀行本店前をゆく1305号。おくんちの龍が描かれています。
1500形 1501‐1507 [1507は2010年にリニューアルし1500A形に更新]
No.D700_190822‐052
2019年8月22日
1500形 1502号
3系統 蛍茶屋行
桜町支線 長崎駅前←桜町
1500形は1993年から1997年までに製造された機器更新車。
No.D700_190822‐035
2019年8月22日
1500形 1503号
1系統 赤迫行
本線 五島町→長崎駅前
カステラの広告を付けた1503号。前照灯と尾灯が横並びになり,側面窓が大型化され,窓枠がブラウンに塗られているのが1300形と異なる点。
1800形 1801‐1803
No.D700_190821‐001
2019年8月21日
1800形 1803号
5系統 蛍茶屋行
蛍茶屋支線 浜町アーケード→めがね橋
中島川沿いを走る蛍茶屋行き1803号。
(2024/05/17シャドー調整)
2000形 2001 2002
No.N8305‐16A
1983年3月8日
左 2000形 2001号 3 赤迫行
右 360形 362号 1 正覚寺下行
本線 長崎駅前
2001は1980年に新製された軽快電車。旧型車が生きながらえる中,残念ながら既に廃車になっています。右側は正覚寺下行きの362号。
(2024/05/16色調整)
5000形 5001‐5003
No.D700_190822‐038
2019年8月22日
5000形 5003号
3系統 蛍茶屋行
桜町支線 長崎駅前→桜町
両端のA車とB車に台車を1台ずつ設置し,中間のC車をフローティング車体とした3車体2台車構造の超低床車として導入された5000形5003号。

 2020年10月3日 テストページ作成
 2020年10月4日 ページ新設
 2024年5月16日 キャプション内容見直し,形式名・行先・線名追記
 2024年5月16日 Safariで半角数字列が電話番号リンクされるのを無効化
 2024年5月17日 主な車両表(撮影済系列他)を追加
 2024年5月17日 主な車両表から写真へのリンクを設置


■参考文献
 Wikipedia 長崎電気軌道
 日本鉄道旅行地図帳 12号 九州沖縄 新潮社 2009年4月18日発行


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