神戸市電
 神戸の路面電車は1910年に神戸電気鉄道により春日野‐滝道‐楠公前‐と兵庫駅前間に軌道が敷設され開業しました。1917年に神戸市に買収され電気局が運営,1942年には神戸市交通局に改称,1953年には石屋川線六甲口‐石屋川間が開通し16路線,35.6kmの路線長に成長しましたが,モータリゼーションの影響により1966年から段階的に廃止され1971年3月13日に全廃となりました。なお,軌間は1,425mm,電圧はDC600Vとなっていました。
■車両 (撮影済系列のみ)
型式 車両番号 車両数 製造年 主な特徴
1100形 1101‐1103 3 1954 神戸市交通局長田工場製,全長12,700mm,全幅2,438mm,前中扉車体,引戸,自動扉,主電動機38kWx2基,直接制御,吊り掛け式,台車:住友金属製FS62,弾性車輪採用,定員80名
1104 1105 2 1960 川崎車両製,車体は1150形に近い仕様に変更,側面窓上段・前面中央窓・乗降扉にHゴム,Zパンタグラフ採用
1150形 1151 1 1955 試作車,川崎車輌,前面窓枠の隅に丸み,窓ガラスHゴム支持,台車:東芝製TT‐102(→ブリル77E),直角カルダン駆動(→吊り掛け駆動),全長12,700mm,全幅2,438mm,主電動機30kWx4基
1152 1 1955 試作車,ナニワ工機製,1101‐1103とほぼ同形,側面窓上部と戸袋窓,乗降扉にHゴム採用,台車:住友金属製FS‐352,平行カルダン駆動(→吊り掛け駆動)
1153‐1158 6 1956 川崎車輌製,1151の車体,1152の床下機器をベースに増備
1100形 1101‐1103
No.D850_240629-168
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園



ノエビアスタジアム神戸に隣接した御崎公園に保存されている神戸市電1103号
No.D850_240629-170
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園



1971年に神戸市電が廃止された後,広島電鉄に委譲され行先方向幕などの改造を受けています。大型ワイパーやバックミラーも取り付けられています。
No.D850_240629-174
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園



スタジアムに向いたエンド側のみ2018‐2019年にかけてオリジナルの外観に戻されています。写真撮ってるとハトがやってきます。
No.D850_240629-176
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園



廃車後の2003年に旧神戸市電和田運輸事務所,市電和田車庫があった当地に里帰りしたとのことです。
No.D850_240629-177
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園
方向幕は板宿,吉田町回りとなっています。
No.D850_240629-179
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園
屋根付きで保存状態は良好
No.D850_240629-182
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園



ナンバーのフォントは神戸市営地下鉄に引き継がれています。

No.D850_240629-186
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園



広島時代の状態となっているエンド。向かって右側の標識灯が追加されたもので,ナンバー表記が中央に寄っています。
No.D850_240629-187
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園



望遠ローアングル

No.D850_240629-188
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園
サイド外観。左側がノエビアスタジアム。
No.D850_240629-191
2024年6月29日
1100形 1103号
御崎公園
住友金属製FS62
1150形 1153‐1158
No.D850_240619-054
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



前面窓枠の隅に丸みがついた1150形1155号。1153〜1158は1150形の増備車で,1955年に試作された1151と1152の運用状況をフィードバックし,車体については1151を採用,機器類については1152の仕様をベースとして川崎車輌で製造されました。
No.D850_240619-057
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



1150形は1968年にワンマン化されましたがこの1155のみは未改造でツーマンカーのまま市電廃止を迎えたため,広島電鉄への譲渡は行われず本山交通公園に保存されました。この本山交通公園は2009年に小寄公園としてリニューアルされています。
No.D850_240619-062
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



御崎公園の1103と異なり広島電鉄に移籍していないため,原形の姿が残されています。
No.D850_240619-063
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



屋根が無いため一時かなり荒廃が進み解体も検討されたようですが,外板の張替えや再塗装,ガラス交換などが実施されています。
No.D850_240619-065
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



運転台付近。本山交通公園はもともと1951年から1969年まで本山自動車運転免許試験場として使われ,運転免許試験場が明石に移転した後,1971年から本山交通公園となりました。自分もその昔,交通安全の講習でお世話になりました。
No.D850_240619-066
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



上部のラインが美しい乗降扉付近
No.D850_240619-067
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園
神戸市電フォントのナンバー表記,屋根上にはビューゲル
No.D850_240619-068
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園
登場時には住友金属FS‐253を履いていましたが1964年に大阪市交通局の801形,90001形の足回りを譲渡され吊り掛け駆動方式に変更され,その際に台車もブリル77Eに変更されています。
No.D850_240619-071
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



楠公前の方向幕が入っています
No.D850_240619-086
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



車体に方向指示器の矢印が付いている保存車は結構珍しいと思います。
No.D850_240619-087
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園



正面窓は汚れも無く,美しく整備されています
No.D850_240619-088
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園
丸みを帯び,側窓上部から正面窓上部に流れる上部ラインが美しい
No.D850_240619-090
2024年6月19日
1150形 1155号
小寄公園
雨ざらしのため傷みも早いので,できるならば屋根を付けてあげたいところ。


 2024年7月10日 ページ作成開始
 2024年7月11日 1103および1155の写真を掲載したページ新設


■参考文献
 神戸市交通局1100形電車
 神戸市交通局1150形電車


Kano鉄道局TOP 蒸気機関車 電気機関車 ディーゼル機関車 客車 電車 気動車 新幹線