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ED73
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■ ED73 基本番台 (新製)
 鹿児島本線の門司操‐鳥栖間貨物列車EL化用の早期手配車として 1‐11号機が昭和37年(1962)度本予算で誕生しました。ED73は,ED72からSGと中間台車を取り去った貨物用機で,構造はほとんどED72と同一です。まず,中間台車がなくなったため軸配置はB‐Bに変わり,これに関連して台車形式はED72のDT119AからDT119Bに変更となりました。軸重も16.8tと最大級の数値を示し,総重量は67.2t,これはED71の1次形以降と同じ重軸重車です。主電動機はMT52,歯車比は1:4.44,総出力は1,900kWと,基本的な仕様はED72量産車と同一,水銀整流器を搭載した機関車としては最終の形式です。1‐11号機に続いて,昭和37年度第1次債務では鹿児島本線 門司操‐鳥栖間貨物列車電化開業用の不足分11両として,ED73 12‐22号機が誕生しています。これにより鹿児島本線同区間は貨物列車の完全無煙化が図られました。ED73 1‐22は風冷式イグナイトロン使用ということから,全機東京芝浦電気で製造され門司機関区に配属されています。
■ 新製車
形式 機関車番号 製造年 製造所 発注区分名 発注名目 仕様・履歴
ED73
基本番台
1‐11 1962 東京芝浦電気 昭和37年度
本予算
鹿児島本線門司操‐鳥栖間貨物列車EL化用 単相AC20kV/60Hz,全長14,400mm,運転整備重量67.2t,軸重16.8t,乾式変圧器,風冷式イグナイトロン水銀整流器,主電動機MT52,歯車比1:4.44,台車DT119B,SG未搭載
12‐22 1963 東京芝浦電気 昭和37年度
第1次債務
鹿児島本線 門司操‐鳥栖間貨物列車電化開業用不足分
■ED73 1000番台 (改造)
 ヨンサントウこと1968年10月ダイヤ改正では,電化,複線化,軌道強化,貨車の2段リンク化など,線路容量拡大の各種事業の達成が見られ,大幅な列車増発と飛躍的なスピードアップが実現することになりました。鹿児島本線においても,門司‐博多間の73.7kmの軌道強化工事が完了し,EC特急列車で120km/hの最高速度が許容されることになりました。これに並行して20系客車にも高速走行に備えたAREBブレーキ装置の導入が図られ,改正直前には全車両への追加改造工事が終了する運びとなり,1968年10月改正から寝台特急列車の110km/h運転が開始されることになりました。ED73もこれに対応し,EF65PFとほぼ同様のブレーキ装置を追加することになり,ED73 1‐12号機に対し改造工事が実施され,ED73 1001‐1012号機が生まれました。1969年10月改正では門司機関区のED73に弾力的な運用を持たせられるよう,残るED73 13‐22号機に対しても同様な改造が実施され,基本番台は消滅,全機1000番台に生まれ変わりました。なお,改造はすべて小倉工場で実施され,改造前後の機関車番号は順序正しく+1000となっています。
■ 改造車
形式 改造出場車 入場種車 改造年 改造工事 改造内容
ED73
1000番台
1001 1002
1003‐1012
ED73 1‐12 1968 小倉工場 応速度増圧ブレーキ新設,電磁ブレーキ制御装置と引き通し用KE72形ジャンパ連結器新設,20系客車との連絡電話用KE59形ジャンパ連結器新設,元空気ダメ管新設,主変圧器・高圧タップ切換器等主要電気機器を高速牽引に適した特性に変更,ナンバーを変更(種車+1000)し黄色に塗装
1013‐1022 ED73 13‐22 1969 小倉工場
ED73 1003
No.N8001‐23
1980年3月24日
ED73 1003+ヨ8000+ワム
下り 貨物列車
長崎本線 諫早
家族揃っての九州旅行で長崎観光の後,308D「出島8号」車内から撮影したED73の貴重な唯一の写真。ナンバーの黄色塗装はP形の証。ED73 1003は昭和37年度本予算により東京芝浦電気に発注され,1962年にED73 3として落成,1968年に小倉工場でED73 1003に改造されました。
(2023/02/23ワイド化)


 2005年5月29日 ページ新設
 2023年2月23日 新製車一覧表および改造車一覧表を追加
 2023年2月23日 写真ワイド化完了
 2023年2月23日 キャプション欄左右入替完了


■ 参考文献
 交流・交直流電機出生の記録[5] 藤本勝久 鉄道ファン320 1987年12月号 交友社
 交流・交直流電機出生の記録[6] 藤本勝久 鉄道ファン322 1988年2月号 交友社
 近代形電機 転身の記録 [1] 藤本勝久 鉄道ファン347 1990年3月号 交友社


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