国鉄新性能電車

381系
 国鉄では曲線通過速度を向上するため,車体を傾斜させる振子車両の研究を行い,3連接車体の交直流振子試験車591系を開発,振子台車やパンタグラフの変位機構,高運転台と低運転台の2種類の先頭部形状などが比較評価されました。381系はこの591系で得られた成果をもとに,1973年7月の中央西線の電化開業に合わせ,振子特急電車として計画されました。381系は9連とされ,最高運転速度は120km/h,振子最大角度は5°,曲線通過速度を本則より15〜20km/h向上する性能を持っています。また,軽量化のためにアルミ合金製の車体となり,重心を低下させるため,冷房の室外機を含むほとんどの機器を床下に搭載しています。床下のスペースを確保するため,車体の長さは20,800mmとなりました。屋根の高さは591系と同じ3,385mmで,屋根上にはパンタグラフと通風器しか搭載されておらず,一目で振子車とわかるすっきりとしたプロポーションになっています。運転台は将来の分割併合を考慮して貫通構造が採用されました。こうして誕生した381系基本番台車は,1973年7月10日,名古屋‐長野間に「しなの」としてデビューしました。曲線の出入り口で急速に車体が傾斜することから乗り物酔いや揺れが指摘されましたが,時分短縮の効果は大きく投入線区を拡大していくことになります。381系は紀勢本線新宮‐和歌山間の電化に伴って1978年10月ダイヤ改正から「くろしお」としても活躍を開始し,天王寺‐新宮間で35分の短縮が実現されました。また1982年7月には伯備線と山陰本線の一部区間が電化し,岡山‐出雲市間の「やくも」にも381系が投入されています。これらの系統ではTc車は非貫通形とされ,クハ381‐100番台車が「くろしお」「やくも」の顔となりました。381系は1982年までに277両が製造されました。
■ 新製車
形式 番号 製造年 主な仕様
モハ381 1‐92 1973‐1982 主電動機MT58(120kW),主制御器CS43,主抵抗器MR123搭載,台車DT42,定員76名
モハ380 1‐92 1973‐1982 主電動機MT58(120kW),CP,パンタグラフPS16I・2基搭載,台車DT42,トイレ・洗面所設置,定員72名
クハ381 1‐18 1973‐1975 前面貫通形,MG(110kVA)搭載,台車TR224,トイレ・洗面所設置,定員60名,両渡り式
101‐144 1976‐1980 前面非貫通形,MG(110kVA)搭載,台車TR224,トイレ・洗面所設置,定員60名,両渡り式
サロ381 1‐31 1973‐1982 MG(110kVA)搭載,台車TR224,トイレ・洗面所・車販準備室・車販コーナ設置,定員48名
■ 改造車(撮影分のみ)
形式 種車 改造年 備考
クロ381 11‐13 サロ381 6, 7, 20 1988 しなの用,サロ381を先頭車化改造したパノラマグリーン車,前部に150mmかさ上げした展望室を備える
クロ381 104, 106, 110, 114, 120, 124, 126 クハ381 104, 106, 110, 114, 120, 124, 126 1998‐1999 クハ381 100番台の格上げ改造車,くろしお用,1列1人+2人掛け
クロ381 128‐130, 132, 134, 139, 141, 144 クハ381 128‐130, 132, 134, 139, 141, 144 2007‐2011 クハ381 100番台の格上げ改造車,ゆったりやくも用,,1列1人+2人掛け
クロ380 1‐5 サロ381 10, 14, 18, 21, 15 1989 スーパーくろしお用,サロ381を先頭車化改造
クロ380 6・7 サロ381 26, 27 1994 スーパーやくも用,サロ381を先頭車化改造
クハ381 1‐18
No.N7803‐5
1978年10月4日
クハ381[1‐18]他 9両
下り 特急 しなの
中央本線 倉本→上松
塩尻/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 長野・名古屋

修学旅行のバスで立ち寄った寝覚ノ床のレストハウスで,自分だけ名勝とは反対を向いて撮った想い出の1枚。10月のダイヤ改正でL特急のヘッドマークが絵入りになったばかりでした。
(2007/05/19再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.N8103‐8A
1981年7月20日
クハ381[1‐18]他 9両
1011M 特急 しなの11号
篠ノ井線 松本
鉄道研究会信州合宿でのスナップ。なんでもない駅撮り写真ですが,今となっては懐かしいの一言。381系は名古屋13時Just発の「しなの11号」で松本発は15:28。JNRマークが輝いていました。左の115系はクハ115‐180他,西ミツ12編成で篠ノ井線明科行き,429Mとなっていますが,松本15:35発の1229Mと思われます。ヘッドライトが白熱灯のいわゆるデカ目で,貫禄があります。
(2008/04/27追加 2023/04/25ワイド化)
No.N8103‐9A
1981年7月20日
クハ381[1‐18]他 9両
1011M 特急 しなの11号
篠ノ井線 松本
塩尻/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 長野・名古屋

松本を発車し長野に向かう381系「しなの11号」。塩尻でのスイッチバックにより奇数向きが最後尾になっています。
(2008/04/27追加 2023/06/22ワイド化)
No.2‐26
1983年3月27日
クハ381[1‐18]他 9両
4049M 特急 しなの9号
東海道本線 関ヶ原
長野/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 大阪

関ヶ原にEF58牽引のCultureTrainを撮りに行った時の一枚。関ヶ原ホーム突端から。垂井方面に向かう大阪発「しなの9号」の追い写し。なお1982年5月17日の塩尻駅移転でスイッチバックが解消しています。
(2012/09/16追加 2023/06/22ワイド化)
No.4‐31
1983年4月9日
クハ381[1‐18]他 9両
4049M 特急 しなの9号
東海道本線 高槻→山崎
長野/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 大阪

定番撮影地「山崎の大カーブ」で「びわこ周遊さくら号」のついでに撮影した今や貴重な1枚。大阪8:30発,京都9:04着/9:05発,長野着14:11で運転されていました。
(2006/01/29再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.30‐17
1984年1月14日
クハ381[1‐18]他 9両
4049M 特急 しなの9号
東海道本線 関ヶ原→垂井
長野/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 大阪

関ヶ原の上り線をゆく大阪発「しなの9号」。
(2005/03/27再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.126‐17
1986年4月27日
クハ381[1‐18]他 9両
4049M 特急 しなの9号
東海道本線 高槻→山崎
長野/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 大阪

京阪間の直線区間をゆく大阪発「しなの」。パンタグラフは1つずつしか上がっていません。1往復だけでしたが特徴あるその車体はファンの注目を集めていました。
(2007/06/09再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.D700_120104‐336
2012年1月4日
クハ381‐1
リニア・鉄道館



非常に美しい状態で保存されています。JR化以降の姿で展示されており,床下機器はグレー塗色,JNRマーク無しとなっています。
(2012/01/09追加)
No.D700_120104‐417
2012年1月4日
クハ381‐1
リニア・鉄道館
床下がグレーなのが残念ですがオリジナルに近い状態で保存されています。
(2017/03/25追加)
No.D700_120104‐441
2012年1月4日
クハ381‐1
リニア・鉄道館



真正面からの写真
(2023/06/22追加)
No.D700_120104‐470
2012年1月4日
クハ381‐1 モハ52004
リニア・鉄道館
17時半閉館ということで17時を過ぎると人が減りこのような写真もきれいに撮影できました。
(2012/1/9追加 2023/06/22ワイド化)
No.D700_120104‐476
2012年1月4日
クハ381‐1
リニア・鉄道館
貫通形であるため車体前面に凹凸があり良いアクセントになっていると思います。
(2012/1/9追加 2023/06/22ワイド化)
No.D700_120104‐483
2012年1月4日
右 クハ381‐1
左 21‐86
リニア・鉄道館
こちらは0系先頭車との並び。
(2012/1/9追加 2023/06/22ワイド化)
クハ381 101‐144
No.1‐33
1983年3月5日
クハ381[101‐144]他 9両
特急 やくも
伯備線 方谷←備中川面
岡山/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 出雲市

100番台クハを使用する「やくも」。
(2005/03/26再スキャン,2018/06/16再スキャン,ワイド化)
No.N8303‐32
1983年3月5日
クハ381[101‐144]他 9両
特急 やくも
伯備線 方谷←備中川面
岡山/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 出雲市

上と同じ場所から。行き当たりばったりの撮影行でしたが結構良い場所でした。
(2007/05/19再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.62‐37
1984年7月28日
クハ381[101‐144]他 9両
くろしお
紀勢本線 切目→岩代
天王寺/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 新宮

9連の「くろしお」が快走。135mmで撮影。
(2007/06/10再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.88‐18
1985年1月13日
クハ381[101‐144]他 9両
くろしお
紀勢本線 紀伊日置←周参見
天王寺/奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 新宮

日置の鉄橋を渡るフル編成の「くろしお」。「くろしお」は元祖「しなの」と異なりクハが非貫通形で異なった印象を受けます。
(2007/06/10再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.365‐14
1997年3月27日
クハ381[101‐144]他 7両
くろしお
阪和線 杉本町→浅香
天王寺/奇 クハ381+モハ381+モハ380+サロ381+モハ381+モハ380+クハ381 新宮

定番撮影地の浅香の駅撮り。HMのHゴムが黒になり少し違和感があります。
(2007/02/10再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.366‐30
1997年3月27日
クハ381[101‐144]他 6両
 シュプール回送
東海道本線 芦屋→甲南山手
奇 クハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+クハ381

甲南山手の駅撮り。クハ381‐100番台車がシュプール号で活躍。
(2007/02/10再スキャン 2023/06/22ワイド化)
No.D200_080826‐34
2008年8月26日
クハ381[128‐144]他 6両
特急 やくも (回送)
山陽本線 岡山
アコモ改造で灰色地に緑と黄色帯の塗色になった「やくも」
(2023/06/25追加)
No.D200_080826‐34
2008年8月26日
クハ381[128‐144]他 6両
特急 やくも (回送)
山陽本線 岡山
前頭部サイドに381 Yakumo やくものロゴマークが設置されています。
(2023/06/25追加)
No.D700_120103‐302
2012年1月3日
クハ381[101‐144]他
くろしお
大阪環状線 弁天町←大正



京都/奇 クハ381+モハ381+モハ380+サハ381+モハ381+モハ380+モハ381+モハ380+クロ381 新宮

弁天町を通過するオーシャングリーン色の「くろしお」。
(2012/01/09追加 2023/06/22ワイド化)
No.D700_150813‐107
2015年8月13日
FE66編成
クハ381‐125他 6両
きのさき
山陰本線 太秦→花園



京都/奇 クハ381‐125+モハ381‐63+モハ380‐63+モハ381‐46+モハ380‐46+クロ381‐126 城崎温泉

京都に向かうきのさき。夏季の増結でようやく6両。
(2015/08/23追加)
No.D700_150813‐113
2015年8月13日
FE66編成
クハ381‐125他 6両
きのさき
山陰本線 花園→太秦
京都/奇 クハ381‐125+モハ381‐63+モハ380‐63+モハ381‐46+モハ380‐46+クロ381‐126 城崎温泉

下りきのさき。上の写真と同じ編成で京都から戻ってきたところ。
(2015/08/23追加)
クロ381 11‐13
No.D700_120104‐385
2012年1月4日
クロ381‐11
リニア・鉄道館
特急しなの用のパノラマグリーン車としてサロ381を先頭車化改造したクロ381‐10番台車
(2023/06/22追加)
No.D700_120104‐386
2012年1月4日
クロ381‐11
リニア・鉄道館



パノラマグリーン車ですが,クハとは貫禄が違いまして真正面からだとなんとも不恰好。
(2012/08/19追加 2023/06/22ワイド化)
クロ381 104, 106, 110, 114, 120, 124, 126
No.D700_120104‐315
2012年1月4日
HB302編成
クロ381‐110他 9両
くろしお
東海道本線 京都
京都/奇 クハ381‐109+モハ381‐37+モハ380‐37+サハ381‐11+モハ381‐39+モハ380‐39+モハ381‐38+モハ380‐38+クロ381‐110 新宮

京都に到着した「くろしお」。手前はクハ381‐110を格上げ改造したクロ381‐110で外観は塗装以外変わりませんが,1列1+2人掛けのグリーン車用シートに変更されています。
(2012/01/09追加 2023/06/22ワイド化)
No.D700_120812‐64
2012年8月12日 10:49
FE62編成
クロ381‐110他 6両
こうのとり7号(回)
東海道本線 山崎←長岡京
向日町/奇 クハ381‐109+モハ381‐37+モハ380‐37+モハ381‐38+モハ380‐38+クロ381‐110 城崎温泉

こうのとり7号が多客時増結で6両となるというので名神クロスで撮影。上の写真と同じクロ381‐110ですが,2012年3月ダイヤ改正でくろしおに287系が投入されたため,余剰となった381系アコモ編成が6両に短縮の上,福知山電車区に転属となりました。塗色は美しい国鉄特急色に戻っています。先頭車のクロ381はクハ381と区別がつきませんが,客用扉の向かって左上に小さいグリーンマークがあります。
(2012/08/15追加 2023/06/22ワイド化)
No.D700_150813‐109
2015年8月13日
クロ381‐126他 6両
きのさき
山陰本線 花園
京都/奇 クハ381‐125+モハ381‐63+モハ380‐63+モハ381‐46+モハ380‐46+クロ381‐126 城崎温泉

花園を通過中のきのさき
(2015/08/23追加 2023/06/22ワイド化)
クロ380 1‐5
No.D700_120812‐48
2012年8月12日 10:15
HD603+HD63x編成
クロ380[1‐5]他 9両
くろしお
東海道本線 山崎→長岡京
京都/奇 クハ381+モハ381+モハ380[501‐503]+クハ381‐503+モハ381‐31+モハ380‐31+モハ381‐33+モハ380‐33+クロ380‐5 新宮

京都に向かう「くろしお」。パノラマ6+3の9両編成。増結用のモハ380‐500番台車は貫通扉をふさいで自動解結装置・電気連結器を装備しています。
(2012/08/19追加 2023/06/22ワイド化)

 2004年2月11日 ページ新設
 2007年6月10日 写真再スキャン完了
 2011年11月29日 番台区分
 2012年1月9日 イベント毎昇順にページ構成変更
 2023年6月22日 写真ワイド化完了
 2023年6月22日 キャプション欄左右入替完了
 2023年6月22日 新製車一覧表を追加
 2023年6月22日 改造車表を追加
 2023年6月22日 イベント毎昇順から形式番台毎に並べ替え
 2023年9月7日 Safariで半角数字列が電話番号リンクされるのを無効化


■参考文献
 特集:振子車両グラフィック 鉄道ファン Vol.37 No.429 1997年1月 交友社
 Wikipedia 国鉄381系電車


Kano鉄道局TOP 蒸気機関車 電気機関車 ディーゼル機関車 客車 電車 気動車 新幹線